2014年8月27日水曜日

磯のあわびの両想い

   正直に申し上げて、わたくしはこれまでアワビというものに決して良いイメージを抱いていた訳ではありませんでした。つまりですね。値段が高い割りにそんなに美味しいのかな?との思いとともにこれまで生きてきたのであります。つまりですね。コスパです。コスパ。CP、つまりコストパフォーマンス。いわゆる費用対効果ですね。つまり世間で言われてるほどアワビってコストパフォーマンスに優れてるのか?って疑念をぬぐい切れなかったんですね。つまり。

どこにアワビがいるか分かりますか?
 
   刺身にしても甘さだったらツブだって、磯の香りだったらサザエだって負けてない。残酷焼きだとか磯焼きと云われる熱を通した食べ方も美味しいのですが、またまたサザエにご登場いただくと壺焼きの方がコストが低いだけに美味しさの効果は抜群なのですね。アワビを天ぷらにしても美味しいとは思うのですが、甘さは増してくるにしても、せっかくの磯の香りがぼやけてしまう。

水貝です。暑い夏の夕暮れには堪りませんね!
磯の青い海を一緒に食べているような味わい
バター・肝あえソテーです。美味しいんです。
が、繊細な磯の香りが消えてしまうようで、そこが少しもったいない気もします・・・
   誤解のないように言っておきますが、それぞれ美味しいんです。それなら文句はないじゃないかってことなんでが、これまでは費用対効果が1:1を上回ることはあまりなかったような気がするんですね。
   決して値段が高いって言ってる訳じゃなくて、それに見合った効果が欲しかったのです。つまりですね。たとえるならば、素敵なホステスさんがいるなら銀座の高級クラブだって財布の中身なんて気にせず毎日通うと言ってる訳なのです。
   そんな気持ちでこれまでいろんな銀座のクラブを、じゃなかった、いろんなアワビの食べ方を試してきたのですが、なかなか満足いくホステスさんとは、じゃなかったアワビの食べ方とは出会えなかったのですね。
   けれども良く良く考えてみると、好きだけど態度にうまく表せないことってありますよね。好きだからこそ冷たい態度をとったり。だからこっちもその想いに応えてあげられないってこと。あのホステスさんもそうだったんだと考えると合点がいくってこと(ないか)。

蒸しアワビです。ようやく両想いになれました。
刺し身、焼き物、煮物それぞれの旨さのいいとこ取り(のような気がします)
   となれば、もう一度銀座でチャレンジ、あっ違った、アワビに正面から向き合ってみよう。と思い貯金にいそしんでいたところ、蒸しアワビなる料理法に出会ったのです。
   よく洗った殻付きアワビを出し昆布で覆い、ぴっちりとラップをし、ゆっくり2時間蒸しあげます。これは地元の漁師さんから教わった食べ方でしたが、生だけれども生じゃない、生じゃないけど生といった味わいと食感で、刺身、磯焼き、煮アワビ、天ぷらなどなど、それぞれの旨さが口中に重層的にひろがります。刺身の歯応えを残しつつ柔らかで、甘さの中にやわらかな磯の風が吹いてくるような。
   冷たい態度だからと諦めずに良かったと感じた瞬間でした。
   万葉のいにしえより長い間、片想いの代名詞に甘んじていたアワビでしたが、ようやく両想いになれました。