2013年12月28日土曜日

再修行 はたはた寿司道

  前回に引き続きハタハタです。それでハタハタで忘れてはならないのが、はたはた寿司。ご存知ではない方のために説明いたしますと、寿司とは言っても「握り」でもなければ、「ちらし」でもありません。むしろ、現在の寿司の祖先にあたる「馴れずし(なれずし)」の一種で「飯寿司(いずし)」とも呼ばれる発酵食品です。
 少なくとも400年以上もの歴史のあることが資料でも確認できるといい、秋田の年越しや正月には欠かせない郷土料理です。
  材料の基本形は、ハタハタのほかには、ご飯、米麹、野菜(カブ、大根、白菜、人参など)、ふのり、酢、塩、といったところ。アクセントに生姜が柚子を入れたりもしますが、その辺りは作り手の数だけのレシピがあって、レモンやすき昆布を加えたり、砂糖を入れる場合も。 
さて、はたはた寿司道を、基本からやり直します。

 発酵食品であるがゆえ、材料を樽に漬け込んで2週間から1か月ほど、熟成させる訳ですが、これまでに何度か苦労して作って、待ちに待って蓋を開けて大成功という経験が無い。 どうしても、塩気が強すぎるとか、旨味が足りないだとか、えっ!ハタハタがまだナマじゃないか。といったこともあります。
 それで、今年こそはと、リベンジの機会をと考えていた訳ですが、これまでの経験を振り返るに、レシピどおりに作ったことの無いのに気が付いた。甘みを増したいがために、ご飯や米麹の分量を変えてみたり、さっぱりした仕上がりにしたいがために、酢漬けの時間を長くしたりと。それで結局、努力は水泡に。
 まあ、努力とは言いましたが、仕込みに数日はかかる、はたはた寿司作りは、師走の慌しい時間を忘れるなかなかに楽しいひと時ではあります。
 さて、武道や茶道の世界に「守破離(しゅはり)」という言葉がありますが、恐らくそれは、はたはた寿司作りにも当てはまる。つまりです。まずは基本のレシピを忠実に守る。自分なりに材料やその分量をアレンジしたりと基本を破るのはその後だ。そして、基本とアレンジから離れて独自のはたはた寿司道を歩みだすのは、さらにその後になる。
 ということに、今更ながら気が付いた。
 そこで、今年は、とあるスーパーで配られていたレシピを忠実に守ることに決め、はたはた寿司道を極めるべく新たな一歩を踏み出したわけです。
第1日目 まずハタハタを食べやすい大きさに。ヌメリがあるので軍手は必需品です
オスのおなかから飛び出しているのは、生殖器。
頭を外すときに飛び出す白子に要注意。
台所中が白子だらけになるかもです(笑)
ハタハタ3kg分
 まず、ハタハタの頭、胸びれ、ハラワタ、そして尻尾をはずして、身は食べやすい大きさに。 次に、ヌメリと血抜きのために、塩を振った後、軽い重石をして、一晩漬け込みます。
 その後、水洗いして、さらに一晩、真水に漬けて、何度か水を取り替えながら、血抜きをしていきます。
 この「一晩」とか、「何度か」という表現は、はたはた寿司道の初心者にとっては曲者で、人によって違うだろうにと思うのですが、今回、第1日目の塩漬け工程は、22時から翌日の8時。

ハタハタ3kgに対して、600gの塩に漬け込みます
一晩(今回は22~翌朝8時)塩漬け後です

 第2日目の真水での血抜き工程は、8時、12時、15時、19時に各1回の換水。
 よくよく考えてみれば、真水に漬け込む工程は、「一晩」ではなく、「一昼夜」になるのですが、はたはた寿司道を極めるためにも、お師匠様のレシピには文句を言わず従っていきましょう。

第2日目 真水を何度か取り替えながら、さらに一晩。
第3日目は酢に漬け込みます。身が締まり、骨の柔らかさが違うという「百年酢」なるものに、さらに一晩漬け込みます。当日は、古い友人との泊りがけでの忘年会があったので、酢漬け工程は、結局、13時から翌日17時の一昼夜以上に。果たして、この教えから外れた行動が、私のはたはた寿司道修行に、どんな影響を及ぼすか、少しばかり心配になるところ。
 かように教えを忠実に守ろうとしても、漬け込みまでの数日間にわたる製造途中で、各工程のタイミングを合わせるのは、かなり難儀です。なので、秋田では、11月から12月の2か月間のうちの3日に限り、有給の「はたはた寿司休暇」が認められています。その代わり、ズル休みではない証拠に、作ったはたはた寿司を職場で披露することが義務付けられているのです(というのは、もちろんウソです)。
これが「百年酢」。兵庫県産です。
第4日目。酢から引き上げたところ。
 第4日目。酢から引き上げたら、いよいよ、本番の漬け込み工程に入ります。
 まず、ご飯を炊かなければならないのですが、今回はハタハタ3kg分なので、ご飯は6合。三合炊きジャーで2回分。炊き上がる間に、他の材料を準備します。
 人参は300g、生姜は90gの細切りを作ります。唐辛子9本分は種をとって輪切りに。そして、米麹は600g分をほぐしておきます。混ぜ込む塩(60g)、みりん(600cc弱)も準備しておきます。
 あとは、ふのりを適量です。この「適量」ってのも悩ましいのですが、今回は3つかみ程度にしておきました。 
いよいよ漬け込みに入ります
あまり熱すぎない程度のご飯に米麹を混ぜ合わせます。温度が高過ぎると麹菌が死んじゃうそうです
みりん、塩、そして生姜を混ぜ込みます
続いて、人参と、唐辛子を
最後に、酢を良く切ったハタハタと、ふのりを混ぜ込みます。
だんだんと彩りが増えていき、期待が高まるのも、はたはた寿司を作る楽しみの一つです。

漬け込みのはじめは、軽い重石から
あとは、フタをして2週間、外の寒いところにおいて、待つだけ。
食べる際に、彩りを目で楽しむために、ご飯や野菜を分けて層状にして漬け込む方法もあるのですが、今回は、教えを忠実に守り、すべてを混ぜ込みます。とは、重石を少しずつ加えながら、2週間ほど、樽で漬け込み、熟成させていきます。
 果たして、はたはた寿司道の再修行の成果はいかに。そればかりは、フタを開けなきゃ分からない。結果は、また後ほど報告します。