2013年4月2日火曜日

私、脱いでもスゴイモン?

 春分も過ぎた3月のとある日、ふらりと立ち寄った男鹿半島の鮮魚店。ヒラメにカレイ、ヤリイカも並んでる。それに春の訪れを実感させてくれるサクラマスも。そんなバラエティの中にあって、ひときわ眼を引く、凄い者を発見した。その名も「すごいもん」。秋田では「すごえもん」だったり「しげも」だったりするが、本名はケムシカジカ。店頭ではなかなかお目にかかることが無い魚だし、しかも安いので2匹ゲットした。

スゴエモン?

 「すごいもん」の呼び名は「凄いもの」に由来するとの説があるが、何が凄いのかと言えば、やはり、この顔か。たしかに魚なんだろうけれども、特に顔周りのデコボコにトゲトゲにヒラヒラ、それにボツボツの皮膚からは、まるでゴジラの親類にしか見えないし、大きな口からは本当に火でも吐き出しそうなくらいだ。



↑↑↑体の表面、まるで爬虫類
外観だけでも十分に凄いのであるが、中身も凄く美味いと云う。一昔前にあったエステのCMのように言えば「私、脱いでも凄い」らしい。
  しからばと、さっそく一匹を味噌鍋仕立てにすべく脱がしてみると、ペンキの入ったバケツをひっくり返したかの色の皮の下には、色白な肉が隠れている。その色白の肉は、タラ8:フグ2の割合で混ぜ合わせたような味と食感。少しきしむような弾力があるが、最後にはホロリと崩れていく。やはり脱いでからも少しは抵抗して欲しいのが男の心理だ(何のことだ)。上品で繊細なタラに少し野性味を加えた感じ。この野性味には味噌が良く合う。それにネギも合う。
↑↑↑脱がす前   ↓↓↓脱がせた後


  それに、胸ヒレの皮一枚下に隠れているゼラチン質の部分、このぷるぷるが甘くて美味い。ただし、ザラザラでちょっと接着剤のような雑味のある皮が口に入ってしまうと不味いので、やはり最初から全部脱いでもらったら良かったかもと少し後悔する。
  実は「すごいもん(ケムシカジカ)」の旬は、産卵期の秋から冬だと云う。鮮魚店のおばちゃんも、これからは味が落ちていくと言っていたが、果たして、肝はほとんど味が無い。それでも、柔らかいホルモンのような胃袋は結構美味かった。
  当然、旬のものを選ぶのが最良なのだろうけれども、いつでも楽しむには食べ方を工夫すれば良い。脱いだら全然凄くなくて、出ているはずのところが、ぺちゃんこだったり、凹むべきところが、凸だったりした場面に遭遇した時にどうするかを考えてみよう。そんな経験は無いので、想像力をたくましく働かせるしかないが、せっかく、そこまでたどり着いたのなら、どうにかしても食べるしかないし、食べるはずだ。


  ということで、2匹目は片栗粉でから揚げ。タラ8:フグ2のような肉質なので、美味くないはずが無い。皮の雑味も消えている。それに、しっかりと二度揚げにすれば、骨まで食べることが出来る。まさに骨まで愛して。やっぱり、私、脱いでも凄いもん。