2013年2月13日水曜日

布袋様降臨

 先日、神様に出会った。それは仕事帰りに立ち寄ったスーパーでのことであった。人生にはさまざまな出会いがあるものだが、神様に会えることなど滅多にあるものでは無いし、会ったことを口に出した途端に周りから人が離れていくだろうから、会ったという話を聞くことも無い。でも、会ってしまったのである。そのうえ、あろうことか、神様を煮付けにして食べてしまったのである。そして、その話を今ここにつまびらかにしてしまうのである(あっ、離れて行かないでくださいね)。
 真冬のとある日、鮮魚売り場の片隅に神様は鎮座していた。それも細切れのパック詰めの御姿で。ラベルに名前が無ければ神様だとは気付かなかったかも知れない。家族や友人と離れて生きていく自信が無かったので沈黙を守っていたのだが、実は前にもこの神様に出会ったことがある。その時は尾頭付きで、といっても、尾も頭もあのでっぷりとした太鼓腹に申し訳程度に付属しているだけだ。そう、太鼓腹の神様と言えば布袋様のこと、そして、この季節の鮮魚売り場にいる布袋様とはホテイウオのことである。秋田では「ごんこ」と呼ぶ。

鮮魚売り場の布袋様
秋田では11月~2月頃にかけて見かける
浜では、この魚が獲れ出すとハタハタ漁も終わると云う
こちらは以前お会いした際の尾頭付きの布袋様

同上、ご尊顔

同上、湯通し後
ぬめりを落とすため熱湯注ぐと、布袋様は面白いほど縮む

細切れの場合も、熱湯を注ぎ表面のぬめりを洗い落とす
卵は塩水でぬめりを洗い流して、軽く湯通しした

細切れの神様を改めて観察すると、なんと卵も入っているではないか。卵を調理するのは初めてであるのでいろいろと調べてみると、アクが強いということが分かった。確かに数粒食べてみると苦い、それにゆるい粘液で覆われている。なので卵は塩水で粘液を洗い流して軽く湯通しにした。細切れの身肉も同じように湯通しして、皮表面のぬめりを洗い流す。秋田では味噌仕立ての汁物にするのが一般的なようだが、今回は煮付けにしてみる。


厚さ2mmほどはあろうかゼラチン質の皮のニュルニュルと、しっとりとした白身の身肉、それに口中で弾ける卵それぞれの持ち味が渾然となった美味さである。今宵もビールが進む。もちろんエビス?


本日のレシピ

ごんこの煮付け

①ごんこ(ホテイウオ)半身程度
②水100ccに対して、酒50cc、みりん50cc、醤油50cc、砂糖大さじ1の配分で、①に適量の煮汁を作る。
③沸騰した煮汁②に、①を加えて、落し蓋をして煮付ける。