2012年12月27日木曜日

出没 サメ喰い人

冬になると秋田 では人喰いザメが出没する。いや違った、サメ喰い人が出没するようになる。人喰いザメは、あの大きな顎でがぶりと一飲みだが、サメ喰い人では、そうはいかない。まず、あのザラザラの皮を剥がねばならない。これがかなり難しいらしいが、鮮魚店などでは皮を剥がれあられもない姿となった「棒ざめ」が並ぶ。


出来る事ならこの光景を白兎に見せてやりたい衝動が起きてくる。白兎は因幡の仇を秋田で打つとばかりに飛び跳ねて喜ぶはずだ。ともあれ、サメ喰い人は、棒ざめを、あるいはその切り身を買って帰ることになり、そこから、刺身、湯引き、煮付け、焼き物、フライなどにし、ようやくがぶりである。このサメ、大きくても全長1mほどにしかならないアブラツノザメである。いつもなのであるが、棒ざめや切り身を見ると保健室や実験室に良くあった人体模型を思い出してしまい、正直言って食べるまでには少しばかりためらいがある。なので、サメ喰い人としては、まだまだ半人前ではある。半人前ながらもいろいろ試してたが、刺身が美味い。マンボウの刺身に入れた切込みにヒラメのエンガワが隠れているような感じとでも言ったら良いか。



部位にもよるのだろうが、噛み始めは、フグの白子と柔らかい牛肉の合いの子のようで、捉えどころの無い柔らかさに少し戸惑うが、気がつくと上品な脂の旨味が感じられ、そのうち溶けるように消えていく。刺身や湯引きは酢味噌で食べることが多いようだが、わさび醤油でも合うと思う。それにフライも美味い。柔らかめの鶏肉のようで、黙っていればサメとは分からないかも知れない。いやいやそれではサメに失礼だ。進化的に正しく言えば、鶏肉に対してこそ「筋ばったサメ肉のようだ」と表現するのが正しいのだ。