2012年9月9日日曜日

三島丸乗船記(その3)・・・男鹿の棒あなご

つづき(最終話)

午前3:30作業終了。その後、短い仮眠をとり、朝9:00頃に、もう一度腹わたを絞り出すのだと云う。あのグロテスクな魚が、美味い「棒あなご」に変身するには、これほど手間がかかるのである。それにしても一日中働いて疲れているであろうに、三島丸のプロ根性には頭が下がる。
私も一旦自宅へ戻り、9:00に港に来てみる。すると、すでに絞り出しの作業は終えたとのこと。すべての行程を見られなかったことは残念ではあったが、ほぼ丸一日かけて「棒あなご」を作りだす苦労を垣間見た気がする。
この棒状の生干し状態のまま、急速冷凍され、男鹿では街中の鮮魚店や、スーパー、料理店などへ出荷されるが、その姿は、長い釘というか、木の枝というか、すなわち、「棒あなご」と呼ばれる所以である。






ヌタウナギの仲間の食習慣は、隣国の韓国にもあると云う。というよりも、そちらが本場らしい。しかしである。コチュジャンで炒めたり、稲わらで包み焼きにする調理法のようで、食べもせずに比べてしまうのもどうかと思うが、ヌタウナギ本来の旨さを120%引き出しているのは、この三島丸の「棒あなご」に限る。
この場合、冷凍のまま中火で約10分、程よい焦げ目を付けて焼きあげるのであるが、まず、調味料を加えて炒めたりしては、決して味わえないものに、皮の香ばしさがある。焼くと皮はパリパリに仕上がるので、食感までが香ばしい。そして、皮ぎしには上品な脂があり、歯応えのある身肉に至る。白身の肉の弾力は、これ以上でも以下でも駄目という絶妙なバランスで、一瞬、歯を押し戻そうとするが、その途端、サクッと歯が通っていく。
「棒あなご」は冷凍で長期保存が可能であるが、やはり漁期の7~10月、特に夏の酒肴に抜群で、ビールが合う。男鹿の大人達は「棒あなご1本、生大3杯」と云う(冗談)。





素材が素晴らしいので、薬味は無くとも十分に美味いが、大根おろしと醤油、それに七味唐辛子が一般的である。もしかすると、わさびも合うかも知れない。今度、やってみよう。
いずれにしても、三島丸御夫婦にはいつまでも元気で、美味い「棒あなご」を作り続けて欲しい。